20080526 - book

ネムルバカ

ネムルバカ (リュウコミックス)ネムルバカ (リュウコミックス)
(2008/03/19)
石黒 正数

商品詳細を見る


 同じアパートで暮らす二人の大学生のお話ということで、大学生の自分として近しい感情をいくつもこの本から見つけることが出来た。

 焦るんだよなあ、まわりに大きな夢を持ってこの道を目指すって奴がいると。中学の頃、将来プロサッカー選手を目指すって言ってサッカーに明け暮れてた奴(五頭身でナルシストだったけど)、絵の勉強するためにイギリス行くって言ってた奴(美術の成績五段階評価で2だったけど)を思い出した。そいつが成功するかどうかではなく、何か自分に自信を持つことであったり、そう言えるものがあるっていうのが羨ましかった。

 自分はそんな大きな賭けみたいな目標は立てられないし、自信持って得意といえるものも何も無い(そうですダメ学生です)。そもそも、これだ!って言えるやりたことがない。いや、やりたいことは常に頭の中にあるんだけど、それが本当に自分がやりたいことなのかどうかと考えているうちにそうでもないような気がして、いつも中途半端に終わってしまう。結果それはやりたい事ではなかったんだと思いこむ。今まではそうすることで、無難で堅実な方法をとるという選択肢を選んでいると思っていた。

「でかすぎる目標立てるのは何も出来なかった時のカモフラージュかもしれないけど、やりたいことがないって公言するのも何も出来なかった時の言い訳なんじゃねぇ?」

 なんかわからんが核心突かれた気がした。。。そう言われると確かにそうかもしれない。やりたいことが全くないわけではないのに、やりたいことがないという言葉じたいそもそも矛盾している。本当は「○○がやりたい」と言うのが怖いだけかもしれない。とはいえ、これで食っていくんだ!って勢いがあるかと問われれば無い。

「やりたいことがある人と、やりたいことがない人の間に、 何かしたいけど何が出来るのか分らない人ってカテゴリーがあって、 8割方そこに属していると思うんだがね」

 自分がまさにこの8割の中の一人。多くの人たちがこの部類に振り分けられると思う。8割の人は日々自分の可能性を模索しているわけで、決して悲観すべきではないと思う。が、やりたいことがある人の傍にいると、自分がダメな奴なんだって思い込むこともいやと言うほどよくわかる。やりたいことを持って日々それに打ち込んでいる人は、8割の人が悩んでいる「何が出来るのかわからない」という壁を乗り越え一歩先を進んでいる人であるからして当然だと思う。

 そういう時こそ気をつけないといけないのが、「駄サイクル」の罠。この「駄サイクル」は本作内で使われていた造語で、同人サークルを例にすると、1.人の作品を見る、2.その作品を褒める、3.自分で作る、4.人に褒められる(そして1に戻る)といった都合の良い仲間との褒め合い合戦の連鎖のことを言う。もっと縮めて言うならば”馴れ合いの悪循環”と言えるかもしれない。

 人それぞれ、どれだけの情熱を持って取り組むのかは変わってくるわけで、プロのアーティストを目指す人と趣味でギターを弾く人が同じ意識で音楽に向く必要はないと思う。しかし問題は、どんな意識を持とうが一度この悪循環駄サイクルにはまると抜け出せないってことがこわい。仲間内と駄サイクルを形成しその中に自分の身を置けば、自分を評価してもらえるわけだから常に良い気分。そんな居心地の良い場所なら敢えて出て行くことなんかしない。でも、実際には褒めるということが前提で回ってるサイクルだから褒められるのは当然。こんな場所で決して人は成長しない。

 「自分は駄サイクルとは無縁です」って自信持っていえないところが悲しいです。自分の過去を振り返ってみれば思い当たる事はいくらでもある。こんな心地良い居場所あったらそりゃその場にとどまりたくなるわな。知らず知らずのうちに自分の居場所に不思議な安堵感を感じるようになったら、この「駄サイクル」の可能性を疑った方が良いかもしれない。嵌ってからでは抜け出すのは大変だもの。とにかく常に自分を客観的に見る必要性があるわけだね。人の口先だけの評価だけに頼らず、自分が第三者となって自分を批判できる力を身につけるべき。…そうなりたいと思う今日この頃でした。



 とまあ長々書いてきたが、やわらかい画にギャグまぜつつのさらっと口調で進行する漫画だから見落としがちになってしまうが、非常に深い話がいくつも盛り込まれていたことが印象的だった。「それ町」でもそうだったが、本作も石黒さんの感性が光る作品といえる。こうゆう漫画は読んでいて楽しいだけじゃなく、自分を省みる機会を与えてくれるから貴重。面白かったっす。


# posted by moqun at 2008/05/26 00:15

Comment

管理者にのみ表示する

Trackback

http://henzutsu.blog42.fc2.com/tb.php/149-8521e7f1



soliloquy

photo

posted by (C)moqun

music

at last.fm

search

Archives

writer

moqun

Author:moqun
location: tokyo
job: ad × web
love: movie, music, trip, pc, shopping, video game,

愛と希望に満ちた世界を夢見るしがない社会人一年生。耳とお腹が首が弱点。たまに満員電車で失神する。今年のテーマは体調管理。

between IT and subculture!